抄録
高速炉におけるB4Cの使用目的には制御材(10B4C)や減速材(11B4C)、遮へい体(天然または微濃縮10B4C)がある。しかしながら10B4Cに比べて11B4Cの研究例は少ない。そこで、減速材使用を想定したB4Cの適用性評価を行った。減速材として照射するには、減速能、形状安定性が重要であるが、このうち減速能については実用化戦略調査研究にて進められている。ここでは形状安定性に着目し、外観観察及び微細組織観察を行った。その結果、中性子照射下での核変換He生成量が少なく、高温下での照射欠陥の回復が可能な11B含有B4Cペレットは、10B4Cで懸念される炉内での形状安定性の問題が無く、高速炉用減速材として高い適用性を有していることが明らかとなった。