抄録
熱陰極型の高周波電子銃は光陰極型のものと比べて構造が簡単で安価な他、平均電流密度が高いという特徴を持っており、自由電子レーザのような量子放射光源用の電子銃として産業利用が期待されている。しかし、加速位相に遅れて陰極から引き出された電子が逆加速されて陰極に衝突する(back-bombardment現象)ため、陰極が加熱されて電流量が時間的に増加し、ビームエネルギーがマクロパルス内で低下するという問題があった。
そこで本研究室では、静電型電子銃で用いられてきた三極管の概念を高周波電子銃に導入し、電子の引き出し位相を制御することでback-bombardment現象を軽減する方法を提案しており、粒子シミュレーションにより三極管構造導入の効果を検討した。その結果、従来型電子銃の陰極付近に新たな小空洞を追加し、100kW程度の高周波電力を印加することでback-bombardment現象を8割以上削減でき、自由電子レーザの発振に必要な長パルス運転が可能となる他、電子ビームの輝度が大幅に向上することが判明した。
大会では本研究で行ったシミュレーションの結果と、三極管型熱陰極の実機設計について発表を行う予定である。