抄録
様々な放射線場にさらされる原子力システム構造材料の劣化挙動の評価は、システムの安全性、信頼性を維持する上で不可欠である。特に既存軽水炉とは大幅に環境が異なる革新炉環境における劣化挙動は、実機環境におけるデータが得られない状況において精度の高い予測が求められる。
以上の観点から筆者らは、_丸1_照射損傷の基礎過程からマクロな材料照射効果の物理的メカニズムを基にしたモデルを構築し、これに基づいたシミュレーションから材料挙動予測を行う、_丸2_これまで行われてきた照射データを集積し、モデル化の観点からデータを整理した上で予測モデルの検証と高度化に役立てる、_丸3_供用中の材料の劣化具合を非破壊的に検査する手法を開発し、評価結果をモデルにフィードバックすることによりモデルの検証、及びさらなる高度化を図る、の3つの観点を融合した材料劣化予測手法の開発を行っている。
本研究はその一部として、中性子照射されたオーステナイト系ステンレス鋼の3mmφディスク材とブロック材を対象として、電気抵抗測定及びミクロ組織観察を実施した。測定にあたっては、3mmφディスク材という小さな試験材に対して精度良く電気抵抗測定が可能な測定装置を開発し用いた。