日本原子力学会 年会・大会予稿集
2007年秋の大会
セッションID: L52
会議情報
トリチウム工学(放出・回収)
フェライトおよびオーステナイト系ステンレス鋼からのトリチウム放出挙動の解明
*大塚 哲平田辺 哲朗
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 ステンレス鋼からのトリチウム放出挙動の解明は、トリチウム化されたステンレス鋼の中間貯蔵や処分にかかるハンドリング時の安全性を確保するうえで重要である。  金属表面酸化膜が水素透過を阻害することは良く知られた事実である。ところが最近、室温付近におけるSUS316からのトリチウム放出は、バルク中の拡散が律速しているとの報告がなされた[1]。一方では、表面には極めて高濃度のトリチウムが存在していることもわかっており、そのトリチウム放出挙動に及ぼす役割は明確にされていない。そこで本研究では、ステンレス鋼の微細組織を変化させて、表面のトリチウム濃度の変化およびトリチウム放出の変化を調べ、両者の対応から表面トリチウムの役割を明らかにすることを試みた。  実験は、フェライト系(8Cr-2W)およびオーステナイト系(SUS316) の2種類のステンレス鋼について行った。これら試料鋼への水素導入法・温度を変化させることにより鋼中トリチウム濃度を変化させて、液体シンチレーション測定法によるトリチウム放出実験を行った。その結果、トリチウム導入時の温度・濃度により異なる表面酸化膜バリア効果およびバルク内トラップ効果が、放出挙動を大きく変化させることが分かった。発表では、放出挙動に対応した表面トリチウム濃度測定結果についても報告する。また、これらの結果を関連づけて放出挙動を数値モデル化し、トリチウム放出の機構を検討する。 [1] R-D. Penzhorn et al., J. Nucl. Mater. 353 (2006) 66-74

著者関連情報
© 2007 一般社団法人 日本原子力学会
前の記事 次の記事
feedback
Top