抄録
収着分配係数のデータベースに内在するデータの変動について、ベントナイトに対するNpの挙動を対象に、変動原因が表面錯体モデルによって論理的に説明可能か否かを検討した。収集した実測データから、Na型、Ca型のいずれも、ほぼ類似のpH依存性を示し、pH6付近に極小値をもち、アルカリ性になるほど分配係数が増加する傾向がみられた。また、硫酸イオンや炭酸イオンの濃度の変動は、ばらつきの要因である可能性が考えられるが、データベース中にこれらの情報は乏しく、欠損データを推測して解析を実施した。その結果、酸性領域ではネプツニル硫酸錯体、中性からアルカリ領域ではネプルニルイオンとネプツニル炭酸一錯体が各々支配的な表面錯体種であることが推定され、溶存イオンの濃度変動が分配係数の値に大きな影響を及ぼすことが示唆された。