抄録
現在,我が国では55基の原子力発電プラントが稼動している.経年化が進み,規定寿命に近づくに連れて廃止措置など何らかの施策が求められている.しかしながら,原子力施設の新規建設が困難な現在,今後も電源構成における原子力発電の割合を現状を維持,または現状以上にしていくためにはリプレースは重要な選択肢の一つである.このような原子力発電プラントの経年化に伴う施策は電気事業者の裁量に委ねられている.本研究では,電力価格が不確実に推移する電力競争下において,既存設備の規定寿命考慮した有限時間内で廃止措置をとるか,設備更新を行いプラントの寿命を延期するかという問題についてリアルオプション・アプローチを用いて経済性評価を行なう.