抄録
治療用陽子線を想定し、水中陽子線入射での陽子とデルタ線両者による電離・励起過程を詳細に解明するために、PHITSコードを用いて核反応を考慮した陽子のエネルギー付与過程を調べた。半解析的電離衝突断面積と電子の非弾性散乱過程のシミュレーションコードを併用して、電離・励起量を算出し、Bragg peak近傍での低エネルギー粒子のエネルギー付与過程を具体的に検討する。粒子線輸送汎用コードでは、1MeV以下の低エネルギー領域の陽子に関して十分な考慮がなされていないため、半解析的電離断面積をPHITSコードに組み込むことで、より精密にエネルギー付与過程を評価できるようにした。