抄録
革新的原子力システムでの利用を想定した複雑形状部への設置が可能な遮蔽材として,ゲル状耐熱遮蔽材の開発を行っている。従来の耐熱遮蔽材はプレス機による加圧処理をおこなって成型するため、板状の遮蔽体しか製作することができなかったが、近年開発されたゲル状中性子遮蔽樹脂は常温硬化によって製作され、複雑形状部に適用可能であるという特徴を有している。一般に遮蔽材は加工時/加工後に飽和蒸気圧の大きい物質が気化することによって成分の一部が失われ、原材料の組成から異なることが多い。そこで,Cf252自発核分裂中性子源を用いたゲル状中性子遮蔽樹脂材の中性子遮蔽性能を実験により,製作された遮蔽材が所定の遮蔽性能を有していることを確認するとともに,数値解析を実施し測定結果と比較することにより,遮蔽材組成の不確定な成分を確認し,遮蔽材の性能データを既存の中性子遮へい材と比較した。