抄録
炭素線治療では核破砕反応で発生した中性子による二次被曝による晩発障害が問題となっている。現在までにボナー球を用いて、患者に見立てた水標的外での中性子空間分布の基礎的情報を取得することが出来た。しかし、ボナー球による測定では、患者体内での中性子の測定・評価は困難である。そこで、In, Fe, Co, Al, Biの箔放射化法による中性子エネルギースペクトルの取得を試みた。箔はビーム軸に対し90度方向の水標的側面に設置し、照射後HGe検出器で放出されるγ線のエネルギースペクトルを取得した。 結果、中性子による放射化が十分におきていることが確認され、放射化率についてはモンテカルロシミュレーションコードPHITSを用いた計算値と大まかな一致が見られた。このことから箔放射化法はビーム軸から90度方向の粒子場における中性子測定に用いることができると考えられる。