抄録
大強度陽子加速器施設J-PARCの核破砕中性子源の水銀標的は、パルス幅1マイクロ秒、25Hzの陽子ビームを受けてパルス中性子を発生する。入射陽子ビームパワーが1 MWと極めて大きく、水銀中にバブルの発生消滅に伴う圧力波によって水銀容器や入射窓がピッティング損傷を受ける。そのため、通壽のステンレス鋼では標的に期待される寿命迄持たない。材料表面を硬化処理により若干の寿命延伸効果を得られるが、母材表面の疲労が大きく、目標は達成されない。その疲労を抑止するため圧力波減衰用の材料を挟みこんだ2重膜被覆ステンレス板の効果について有限要素法で解析し、また実験研究を実施した。その結果を報告する。