抄録
材料試験炉JMTRにおいて288°CのBWR模擬水環境下で0.62-9.2dpaまで照射した304系ステンレス鋼のCT試験片を用いてき裂進展速度試験を実施した。高腐食電位条件で、応力拡大係数Kが10-30MPam1/2の範囲において、母材のき裂進展速度は、照射量が2dpaまでは中性子照射量が増加するに従って増加するものの、2dpa-10dpaではほぼ一定の値になることがわかった。また、ミクロ組織観察と析出物近傍の局所的ひずみ測定により、き裂進展速度に及ぼすミクロ組織の影響についても調べた。本発表では、ミクロ組織、照射硬化及び照射誘起偏析とき裂進展速度の関係について報告する。