抄録
JT-60U装置では2005年よりフェライト鋼(8Cr2W)がプラズマ対向壁の一部として使用されており,これまでにトロイダル磁場リップル低下による高速イオン損失の低減およびプラズマの反方向回転の減少が確認されている.このタイルはトロイダル方向の全ポート間に1122枚配置され,真空容器内のタイル総数の約9.1%を占めている.実機における金属タイル損耗による混合堆積層の特徴,および混合層におけるガス吸蔵特性などに関してより詳細なデータを得るため,本研究ではJT-60Uの真空容器内に実験サイクル期間中試料を長期に渡り設置し,2006年度の大気開放時にその試料を取り出し炭素・金属混合堆積層に関して分析を行なった.
X線光電子分光法による結果から,Si試料上の堆積層中に占めるフェライト鋼の構成元素の一つである鉄(Fe2P3) の原子組成比がポートセクション毎に異なることが明らかとなり,最も多いP-15セクションにおいて約40%であった.