抄録
設計検討中の超伝導トカマク装置は、既存設備を最大限利用するため限られた空間で効率の良い放射線遮へい方法が必要不可欠となる。高性能プラズマを閉じ込める真空容器は、放射線遮へい設計の観点から重水素運転に伴って発生する中性子の遮へいと超伝導コイルの核発熱を低減するため2次ガンマ線の影響を少なくするように設計しなければならない。その基本構造はステンレス鋼による2重壁構造で、2重壁間にはボロン水を充填する構造とした。ホウ酸の水に対する溶解度が水温により変化するため、熱中性子の吸収に有効な高い温度での利用が望ましいが、配管を含めたプラント全般にわたる温度管理を怠るとボロンが析出する技術的課題が生じる。そこで筆者らは、温度管理不用の室温未満でのボロン水を用いた遮へい設計に着目し、現有設備であっても超伝導トカマク装置の放射線遮へい設計が成立することを示した。