抄録
現在、日本においてはHLW地層処分場選定を原子力問題のバックエンドと一般的には位置づけられている。しかしこのことがとりわけ社会的には文字通り議論の「最終」点と理解され認識されるが故にきわめて難しい問題、すなわち最初の議論さえもままならないという事態を招いているとも考えられる。そこで本稿では、最終処分地選定をHLW議論の最終到達点とせず、あらたな展望を開く出発点とも位置づけられるようにするべく、国民レベルの一般的関心事へと広めかつ高めていくための議論展開の方向性を提示する。具体的には多くの地域が抱える主要課題である地域の活性化と日本国のみが実体験を通じて有している原子力平和利用への想いをつなぐ中長期的かつグローカルな視点として「原子力の持続的平和維持管理(サスティナブル・ピースキーピング・マネジメント)」をキーワードとして提示し、今後発展的な思考の中でHLW問題に向き合うべきことを提案する。