抄録
高温工学試験研究炉(HTTR)における50日間の高温連続運転において、燃料の挙動に関するデータを取得・評価した。運転中の燃料の挙動は、燃料からヘリウムガス１次冷却材中へ放出される核分裂生成物(FP)の放射能濃度を、定期的な1次冷却材サンプリングによるγ核種分析測定等により評価した。その結果、高温連続運転中のクリプトン88の放出率は約10-8で推移し、設計許容値の約1×10-4を十分に満足する数値であり、HTTR燃料のFPガスの閉じ込め性能は、これまでの海外の高温ガス炉燃料被覆材に比べて格段に高く、HTTRの燃料が世界最高水準のFP閉じ込め性能を有していることを実証した。また、運転に伴う追加の燃料損傷がないとした解析コードによるクリプトン88の放出率の計算値と今回の実験値はほぼ一致し、解析コードが実用高温ガス炉の設計に有用であることを確認した。
