抄録
代理反応と中性子入射反応におけるスピン・パリティー分布の違いの影響を調べた。その結果、代理比反応が1)この論文で導いた弱いWeisskopf- Ewing条件を満たす、2)二つの代理反応で生成する複合核のスピン・パリティー分布が等価であり、3)中性子反応と代理反応における平均的なスピン値の違いが10$\hbar$程度以内であれば成立することが分かった。期待される精度は、核分裂断面積に対して5\%、中性性捕獲断面積に対して10\% 程度である。これに対し、代理絶対反応法の適用は、代理反応と中性子反応で生成するスピン・パリティー分布が等しいか、違いを理論的に補正しなければ困難である。