スライド式のライニング型遮へい扉(厚板炭素鋼材をステンレス板で覆ったもの)において、ライニング板の膨張により躯体とライニング板が接触し、扉開閉が困難となる事象が発生した。ライニング板の膨張は内圧上昇によるもので、ライニング内部のガス分析を実施したところ主成分は水素であった。この水素は鋼材中に含まれる拡散性水素に由来するもので、鋼材から長期的に継続して放出されることによって内圧上昇が生じライニングの変形に至ることが判った。ここでは、拡散性水素の長期的な放出挙動と内圧上昇によるライニング型遮へい扉変形への影響について報告する。