抄録
原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化の機構解明に資するために、Ni, Si, Mnを含む二、三、四元系の原子炉圧力容器鋼モデル合金をイオン加速器を用いて低温照射して、電気抵抗率の変化を測定し、欠陥の回復特性に与える溶質原子の相乗効果を評価した。二元系の場合は照射によって増加した抵抗率は室温程度までの焼鈍でほぼ回復するのに対し、三元系以上の合金では室温程度までの焼鈍によって電気抵抗率が未照射よりも小さくなる傾向を示した。このことは、三元系以上のモデル合金において、マトリクス中の固溶溶質原子が照射後の回復過程で減少し、析出物中あるいは結晶粒界へ移動したことを示唆している。