抄録
航空分野で開発されたCRM(Crew Resource Management)訓練を他分野に導入する際に、過去の事故やトラブルの再発を防止する視点から有効と考えられるCRMスキルを適用することによって適合化を図ってきた。本報告では使用済核燃料再処理工場への適合化について報告する.個人及び組織としてのレジリエンスを培うことを重視した訓練によって、多様な環境の変化に直面してもそれを乗り越え危難を回避できる対応力を養うことが目的である.経験された事故や不適合事例をヒューマンファクターズの視点から詳細に分析し、強調すべきCRMスキルを選択して、テキストや補助教材の作製に資するなど、訓練内容の適合化を図った。失敗事例に加え成功事例にも注目する、事象への対処、事象推移の監視、及び変化の予見を重視する,などのレジリエンスエンジニアリング的視点を導入することの有効性を吟味した結果を報告する.