抄録
原子力システムを管理する組織のレジリエンスを評価することは,その安全管理レベルと改善への方向性を知るうえで重要な課題である.従来の安全管理法ではエラーや不適合事象など負の事象の生起頻度に着目したアウトカム指向の評価が主流であった.しかしその方式では,安全性がある程度高いシステムを対象とした適用性に問題がある.プロセス指向のレジリエンス評価を基盤とした安全管理はこの難点を解消する有望な方策である.本研究ではレジリエンス評価グリッドと呼ばれる組織特性評価法を活用するための質問群を用いたレジリエンス評価法について検討した.ここで参照する質問群は先行研究で提示されている基本バージョンを土台にしつつ,評価担当者が,被評価者である組織の担当者と協働して作成した実用バージョンを活用した.この被評価者側の参加に基づくレジリエンスの評価方式とその原子力担当組織への適用結果について報告する.