抄録
燃料被覆管のブレイクアウェイ現象は、被覆管の腐食を加速させる。ブレイクア ウェイの周期は、合金組成や水化学環境により異なり、被覆管表面に形成される。酸化膜の内部応力の違いによると推定される。酸化膜は数μmの厚さのため、詳細 な応力解析には高い分解能が必要である。そこで、 放射光によるマイクロビームX線を利用した被覆管酸化膜の局所X線回折と応力解析手法を検討した。
X線回折に寄与する体積を最小化するため、ビーム幅を0.2μmとして、高温水中腐食により形成した酸化膜を深さ方向に透過法を用いてX線回折測定した。単斜晶酸化ジルコニウムの格子面間隔は、基材との界面より表面側へ1μmの付近から顕著に狭く、圧縮応力は膜内部の方が界面付近よりも大きいことを示唆している。これは、正方晶酸化ジルコニウムのマルテンサイト変態による体積膨張が圧縮応力と して作用したためと考えられる。