抄録
高速炉燃料被覆管としてフェライト系材料を使用する場合には硝酸による影響を評価しておく必要がある。燃料再処理では被覆管溶解成分が高放射性廃液に移行するため、高放射性廃液からのFe(III)とCr(VI)の分離に関し、二座配位抽出剤による溶媒抽出を検討した。Cr (VI) を抽出するため、酸性溶液中でCr (III) を酸化調整する検討を行い、Ce (IV) による酸化並びに定電位電解によって90%以上のCr (VI) 収率を得ることができた。溶媒抽出の検討ではリン系抽出剤CMPO、アミド系抽出剤DMDBTDMAと比較のためにTBPとTOPOを用い、Fe (III), Cr (VI), Nd (III), Ce (IV) を含む硝酸溶液からの分配比を求めた。Crは CMPO、DMDBTDMAとTOPOにより抽出が可能であり、一方Feは抽出されなかった。模擬廃液からの抽出では、希土類やZrなどの分配比が相対的に高いために、Crの有効な分配比を得ることができなかった。CrとFeを分離するためには、予め希土類等を除去する段階的な分離の必要性が示唆された。