抄録
Pb(C,x)フラグメンテーション反応断面積の励起関数を10-400MeV/uの範囲で測定し、PHITS(JQMD+GEM)によるシミュレーションと比較した。その結果、質量数が20~60および110~130のフラグメントは10分の1程度に過小評価されることが判明した。
JQMDによって計算された動的過程では、質量数120以上もしくは20以下のプレフラグメントのみが生成された。その後のGEMによって計算された統計崩壊過程では、質量数が20から120の間のフラグメントが生成した。このとき、核分裂収量ピークの前後では核分裂収量ピーク領域と比べて顕著にフラグメント生成が少なく、実験値に対する計算値の過小評価と一致した。
上記のことから、中高エネルギーの重イオンの入射で発生するPbのように重い核のフラグメンテーションでは、核分裂収量ピークの前後の領域のフラグメント生成を再現するために、JQMD+GEMに含まれない反応機構(パーコレーションモデルなど)を考慮する必要性があると考えられる。