抄録
ダイヤモンド放射線検出器は高い耐放射線性、耐腐食性、高温環境動作等の特長を有し、極限環境下で動作する半導体検出器として期待されている。本研究室ではDT核融合炉用プラズマイオン温度測定用14MeV中性子スペクトロメータの実用化を目指し、化学気相合成(Chemical vapor deposition:以下CVD)単結晶ダイヤモンドの合成研究を行なっている本研究においては、オフ角制御高圧高温合成Ⅱa型ダイヤモンド基板を使用し、メタン濃度4%、2%、1%で結晶合成を行いカソードルミネッセンス(CL)スペクトル測定、α線を用いた誘導電荷量分布測定ならびにμτ積の評価を行った。測定の結果、メタン濃度1%の試料の性能が最もよく、電荷収集効率は正孔:100%、電子:98%、分解能は正孔:0.7%、電子:1.1%、μτ積は正孔で1.0×10-4cm/V、電子で9.6×10-6cm/Vとなった。報告されている最良値と比較すると正孔、電子ともμτ積が1ケタ低く、不純物の低減等の対策が今後必要となる。