抄録
原発事故が発生した場合、人々は放射性物質による環境や食品等への影響を懸念しがちである。この度の2011年3月に発生した福島第一原発事故においても風評被害が見られ、風評被害を受けた関係者および地域、さらには国内外へと社会に与える影響は大きいといえる。そして福島第一原発事故を受けて、これからの議論の場を考えると、エネルギー事情、原子力の安全面、原力を利用するか否かのような議論だけにとどまらず、社会に与える影響の度合を考慮すると「風評被害」という視点による議論も多いに予測されるが、実際風評被害に関してどのようなものが論点となってくるのか定かではない。そこで、福島第一原発事故の事例を取りあげ、新聞を用いて風評被害の影響を把握、経験的な知見として整理することを本研究の目的とする。