抄録
高速増殖炉(FBR)の炉心溶融事故(CDA)時に, 溶融炉心の一部が冷却材中へジェット状に射出される可能性がある. 本研究では, 実機と密度比が同程度の炉心溶融物と冷却材の模擬物質として, 高温溶融物と水を用いた実験を行い, 溶融物と冷却材の相互作用を理解し, 固化に至るまでの冷却挙動を把握することを目的とする. 溶融物を水中に自由落下させ, 水中での溶融物の冷却挙動を高速度カメラで観測し, 実験後に固化物を回収した上で質量および寸法の計測を行った. 実験結果から, 射出する溶融物の温度により, 溶融物ジェットが異なる分散および微粒化挙動を示す可能性が示唆された. そこで挙動の形態を高温溶融物と冷却材の液-液接触および固-液条件に区分し, 前者ではジェット界面での熱交換を, 後者では界面凝固膜の材料強度を考慮した固化物径予測式を算出した. そして数値計算を用い, 実験結果から見積もった固化物の代表径である質量メジアン径との比較を行うことで予測式の検証を行った.