アルコールに放射線を入射することで生成する溶媒和電子は、700nm付近をピークとする光吸収スペクトルを持つ。溶媒和電子の生成過程では、その前駆体(溶媒和前電子)が存在し、近赤外領域に光吸収を持つことが知られている。しかしながら、溶媒和前電子から溶媒和電子へと至る緩和過程は未だ明らかにされていないことが多く残されており、放射線化学初期過程を理解するためにも、その解明は非常に重要である。そこで本研究では、最高時間分解能240フェムト秒を有するフェムト秒パルスラジオリシスシステムを構築し、溶媒和前電子から溶媒和電子へと至る過程における光吸収スペクトルの時間変化を観測することで、その緩和過程に関する知見を得た。