ピコ秒・フェムト秒の時間領域での電荷移動反応の測定には高濃度の溶質を添加する必要が現れてきた。また、核燃料再処理で用いるTBP(トリブチルリン酸)抽出溶液もまた高濃度溶液であるため、直接イオン化効果を解明することが非常に重要である。高濃度溶液の場合、溶質の直接イオン化効果がもはや無視できない。高濃度溶液中のビフェニルの直接イオン化効果をフェムト秒パルスラジオリシスを用いて研究した。選択的に電子が生成される溶液に高濃度の塩素系電子捕捉剤を添加することにより、溶液のイオン化による電荷の影響を低減した。溶媒のイオン化によるカチオンは観測されず、生成した電子は電子捕捉剤により100 ps以内に減衰する事が明らかとなった。この体系で溶液中のビフェニルの直接イオン化効果を観測することに成功した。講演では、収量など定量的な議論をしたい。