抄録
東日本大震災の津波等で発生した岩手県及び宮城県の「災害廃棄物」の広域処理は、含有される放射能の環境影響に対する住民不安等から、当初予定よりも受入地域が広がらず、受入時期にも遅れが生じた。本稿では、受入自治体の住民のリスク認知と情報需要について、自治体によるアンケート結果等のテキスト分析から明らかにするとともに、自治体主催の説明会やホームページ等を通じて提供された情報との共通点と相違点を分析する。また、安全・安心のための合理的選択支援の観点から、専門家やメディエータの役割、納得性の高い効果的なリスクコミュニケーションの要件について考察する。