抄録
福島第一原子力発電所事故では、炉心等の冷却のために海水が注入された。そのため、現在の炉内状況を把握するには、海水が熱伝達等に与える影響を把握する必要がある。しかし、海水による炉心等の冷却は、これまで想定されていなかったため、海水の熱伝達等に与える影響に関する研究は、ほとんど成されていないのが現状である。そこで、原子力機構では、事故後の炉内状況の把握に資するため、海水が熱伝達等の熱流動挙動に与える影響を、実験的に把握するための研究を開始した。本研究においては、損傷前後の炉心を対象とし、塩の析出の影響を含めた熱流動現象の理解、支配因子の摘出及等を目的として、複数の実験を行う予定である。本報では、研究計画の概要及び予備実験の結果について報告する。