抄録
核不拡散強化の観点から多国間で核燃料サイクルを共同して実施する核燃料多国間管理構想において、原子力新規導入国にとっては、核拡散抵抗性の強化に伴う制約によってエネルギー安定供給力の低下が生じ得るという問題が付随する。本研究では、あるレベルの核拡散抵抗性を維持した場合、エネルギー安定供給力がどの程度影響されるかという観点から、核燃料多国間管理構想における核拡散抵抗性レベルとエネルギー安定供給力の関係に注目した評価を行った。具体的には、核拡散抵抗性については核燃料物質総量の不確かさにより生じる転用可能性、エネルギー安定供給力については燃料供給途絶が起こった場合に発電を維持できる期間に注目し、ファジィ理論に基づく核拡散抵抗性評価に基づいて、燃料サイクルの多国間分担の代表的な例について定量的な評価を行った。