抄録
核融合炉の実現において、ステンレス材料中の水素同位体滞留挙動に関して明らかにすることは、燃料リサイクリングの観点から必要であり、これまでステンレス材料中の水素同位体滞留挙動に関して実験室規模での研究が数多くされてきた。しかし、得られた知見を実機環境へ応用していくためには、実機を模擬した大型装置での実験における結果との比較・検討が必要である。そこで本研究では、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)内にステンレス試料を設置しプラズマ曝露を行い、不純物等が混在する状況下での水素同位体滞留挙動について明らかにした。プラズマ曝露した試料に対し試料表面状態観察のため走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)を用い、さらに表面化学状態評価のためX線光電子分光法(XPS)、試料中の水素同位体滞留挙動評価のため昇温脱離法(TDS)を行うことで、実機環境において予想される不純物の堆積やHeが水素同位体滞留挙動へ及ぼす影響を解明した。