抄録
核融合炉のトリチウム増殖候補材であるチタン酸リチウムは、高温下で中性子照射を受けるため、中性子との核反応や材料外への蒸発などの過程によりリチウム濃度が減少することが予想される。リチウム濃度の減少はトリチウム生成率を減少させるだけでなく、チタン酸リチウムの組成変化や構造改質などを経てトリチウム放出挙動を大きく変化させる可能性があることから、リチウム濃度の減少とそれに伴うトリチウム放出挙動の変化を理解することは重要である。本研究ではチタン酸リチウム及びリチウム濃度を減少させた試料(Li1.8TiO2.9)に熱中性子を照射し、昇温脱離実験を行うことでリチウム濃度の変化に伴うトリチウム放出挙動の変化を調べ、チタン酸リチウム中のトリチウム移行過程におけるリチウム濃度の影響の解明を試みた。