目 的
出産後に仕事へ復帰する母親を対象とした母乳育児継続プログラムが研究者により開発された。本研究では,母乳育児継続プログラムで使用したパンフレットの作成過程と評価を記述することを目的とした。
対象と方法
パンフレットの目的は,第一に出産後1年以内に仕事へ復帰する母親を対象とし母乳育児を継続する上で役立つ知識や情報を提供することであり,第二に仕事復帰後の母乳育児を促進することであった。主な内容は,母乳育児継続のメリット,母乳育児と仕事の両立の実際,搾乳と服薬,卒乳であった。経験者の体験や工夫を盛り込み,復帰後の1日のサイクルやポイントをわかりやすく示したことが特徴であった。対象者は先行研究の3群のうち,プログラム群(48名)とパンフレット群(46名)の参加者であり,出産後4~12か月の間に仕事復帰予定の母乳育児中の母親であった。パンフレット群はパンフレットを郵送で提供し,プログラム群は同じものを母乳育児クラスでテキストとして使用した。評価項目は理解度,期待一致度,活用度,満足度であり,5段階評価とした。上位2つを高評価,下位3つを低評価とし群間でχ2検定を行った。パンフレット群では,評価の高低と仕事復帰後3か月時の母乳継続割合のχ2検定を行った。データ収集期間は2017年2月~2018年8月で,研究者が所属する機関の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
結 果
パンフレット理解度の評価は両群とも90.0%以上であった。期待一致度,活用度,満足度は,パンフレット群はプログラム群より有意に低かった。パンフレット群で期待一致度,活用度,満足度が高い人は,仕事復帰後3か月時の母乳育児割合が高かった。
結 論
パンフレットの理解度は高く,知識・情報を提供するツールとしての評価は得られたと考えた。パンフレットの内容を改善することにより,母乳育児継続に貢献できる可能性が示唆された。