アフリカ研究
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アフリカ研究の展望
日本のアフリカ史研究のいまとこれから
溝辺 泰雄
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2021 年 2021 巻 100 号 p. 79-83

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抄録

今世紀初頭まで,日本のアフリカ研究におけるアフリカ史研究の占める位置は決して大きなものではなかった。しかし近年,特にグローバル・ヒストリーの領域を中心に,若い世代の優れた研究が数多く発表されるようになり,状況は急速に変わりつつある。日本のアフリカ史学界においても,欧米のみならず現地の史料を参照した実証的な歴史研究がおこなわれることは,もはや常識となった。文字・非文字に関わらず史料の多様化が進み,新しい方法論を用いた研究も登場しつつある。今後はさらにトランスナショナルな視点からの歴史研究が発展していくことが見込まれる。その中で,「日本のアフリカ史研究」が世界のアフリカ史学界に貢献するためには,歴史学的方法論に基づく実証研究の精度を高めていくとともに,日本やアジアの視点及び史料を通した新しいアフリカ史像の提示を積極的におこなっていくことも重要となるであろう。

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© 2021 日本アフリカ学会
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