アフリカ研究
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論文
  • 伊藤 紀子
    原稿種別: 論文
    2022 年 2022 巻 102 号 p. 1-12
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    本稿は,ケニア稲作農村での40人の女性の調査に基づき,食品の入手や消費に対する意識と世帯の特徴及び食品摂取行為との関連に注目しながら,以下3点を明らかとした。

    第一に,意識の分析により,「低価格志向」,「健康志向」,「共食志向」,「地元志向」が抽出された。調査対象者は食品の経済性や健康への貢献のみならず,伝統的共食文化や地元産食品へのこだわりといった地域性も重視している。

    第二に,対象世帯は,コメ,小麦製品,伝統的なトウモロコシ・イモ料理などの主食や,野菜類,イモ類,豆類などの副食を,摂取している。食の多様性は,伝統的イモ料理の摂取頻度の高さなどと関連している。

    第三に,意識の強さと世帯の特徴や食品摂取行為の間には,関連がある。「低価格志向」の強さは1人当たり月間支出の低さと,「共食志向」の強さは支出の高さと関連がある。「健康志向」の強さはコメの摂取頻度の低さや果物の摂取頻度の高さと,「共食志向」・「地元志向」の強さは食の多様性と,関連がある。これらは,女性の健康意識が「健康的な食事」の摂取と関連したり,共食文化や地元の食への志向が伝統料理の摂取などを通じて,食の多様化と関連したりする可能性を示している。

研究ノート
  • ─南スーダンにおけるインタビューから
    飛内 悠子
    原稿種別: 研究ノート
    2022 年 2022 巻 102 号 p. 13-18
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    アフリカにおけるキリスト教人口の増加は,ペンテコステ派,カリスマ派,福音派などの教派から大きな影響を受けており,いずれの教派もボーン・アゲインなどと呼ばれる信仰覚醒者を持つという共通性を持つ。そして主要教派にも信仰覚醒者は存在する。本稿ではこの信仰覚醒に注目する。

    南スーダンでは,信仰覚醒者がキリスト教徒の人口拡大に大きな役割を果たしてきた。この点で,信仰覚醒を考えるうえで好適な場所である。しかしまず,南スーダンでは信仰覚醒がどの程度まで教団や組織に共通した現象なのか,また,信仰覚醒者は,教派を超えたアイデンティティやネットワークを持つのかを確認する必要がある。これが本稿の目的である。

    各教派へのインタビューから,南スーダンの主要なプロテスタント教派のすべてに信仰覚醒者が存在し,信仰覚醒組織と緩やかな関係を築きながらも,それぞれの教派で活動していることが明らかになった。そして各教派,組織における信仰覚醒者の意味は異なるが,信仰覚醒が「神/イエスを受け入れること」と考えられ,救済が強調される点は,教派,組織間で共通性がみられた。

    これらの結果は,南スーダンにおける教派間関係の状況を示すとともに,信仰覚醒に着目してアフリカのキリスト教を考察することの有効性を示している。

学界通信:若手海外研究報告助成
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