地球科学
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稲敷台地南部の下総層群 ―後期更新世以降の地殻変動(その2)―
竜ヶ崎団体研究グループ
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1998 年 52 巻 5 号 p. 378-390

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抄録

関東平野北東部稲敷台地南部の中・上部更新統下総層群の変形と層相から,後期更新世以降の地殻変動について議論した.本地域の台地面は,全体的に東から西に緩やかに下がり,稲荷川付近で急に高度を下げる.木下層,上岩橋層の基底面の地形もこれと類似する.これらの事実は,変形が新しい時代の変動によって形成されたことを示している.常総層中部砂層(蛇行河川堆積物)は,海岸平野システムの1つとして,プログラデーションの過程で形成されたもので,御岳第一浮石層(Pm-1)の下位にある.この常総層中部砂層は,沈降速度の大きい地域に分布する.また,現在の台地面が低い地域ほど層厚が厚い.したがって,層厚の厚い地域ほど沈降が大きかったと考えられる.また,次の3つの変動を識別した.(1)木下層の形成時の地塊状の地殻変動(2)常総層中部砂層堆積時以降の地塊状の地殻連動,(3)常総層中部砂層堆積時以降の関東平野中央部に向かう傾動運動.(1)は,常総層中部砂層堆積時以降,活動が見えにくくなる.それに対して(2),(3)は,常総層中部砂層堆積時に生じ,現在も継続し,今日の地形形成に決定的な役割をもった.

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© 1998 地学団体研究会
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