地球科学
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沼沢火山の地質と岩石
沼沢団体研究グループ
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1999 年 53 巻 1 号 p. 53-70

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抄録

福島県会津の西部に位置する沼沢火山はカルデラ湖を持つ小火山で,中期更新世後期(約13万年前)に噴火を開始した.噴火の最終段階で形成されたカルデラ湖の長軸は,鮮新世に形成された古いカルデラの長軸と一致している.沼沢火山の火山層序は下位より惣山溶岩,水沼火砕岩層,水沼層,大栗山溶岩,51kaに噴出した早戸火砕岩層,5000年前に噴出した沼沢火砕岩層および沼沢層の7つのユニットに区分される.惣山溶岩は普通輝石-シソ輝石デイサイト(SiO_2 63-68%)から成る.水沼火砕岩層は火砕流堆積物から成り,流紋岩質(SiO_2 75%)で,黒雲母を含んでいる.大栗山溶岩は黒雲母-ホルンブレンドデイサイト(SiO_2 65%)から成る.早戸火砕岩層は溶岩,溶結凝灰岩および火砕流堆積物から構成されている.デイサイト質(SiO_2 68-70%)で,黒雲母,ホルンブレンドおよびカミングトン閃石を含んでいる.沼沢火砕岩層もデイサイト質(SiO_2 65%)であるが,シソ輝石やホルンブレンドを含んでいる.火砕流堆積物で構成されており,安山岩マグマとデイサイトマグマの混合で形成された縞状軽石も含んでいる.水沼層と沼沢層は河川成の礫層から構成されている.沼沢火山の岩石化学組成は,東北日本第四紀火山の森吉火山帯のものと似ている.

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© 1999 地学団体研究会
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