2008 年 62 巻 2 号 p. 109-118
岐阜県根尾村の河床礫から後期白亜紀のアンモナイトPolyptychocerasと花粉・胞子化石群集を発見した.このアンモナイトと花粉・胞子化石群集が示す時代から河床礫は,サントニアン期-前期カンパニアン期である.採取した礫は化石採取地点周辺に分布する地質体の岩質・時代から考えて,奥美濃酸性岩類明石谷岩体の岩石にやや近い.しかしながら,同岩体の形成時代は岩相から奥美濃酸性岩類の活動ステージOK-2(68〜60Ma)とされているため河床礫の時代と一致しない.今後の精査を待たねばならないが,Polyptychocerasを含む河床礫は未知の白亜紀後期海成層,あるいは奥美濃酸性岩類明石谷岩体の火山礫凝灰岩か凝灰角礫岩中の礫に由来する可能性がある.