地球科学
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北上山地のアダカイト質小深成岩体,立根岩体の岩石学的特徴(<特集>日本列島における白亜紀アダカイト質花崗岩類の起源)
西岡 芳晴
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2008 年 62 巻 3 号 p. 203-210

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抄録

北上山地の立根岩体は中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩を主岩相とし,ごく一部に細粒-中粒黒雲母角閃石花崗閃緑岩〜トーナル岩からなる寒風型を含む.主岩相と寒風型は主成分及び微量成分について,多くの元素では連続的な組成変化を示すが,Al2O3, MnO, Na2O, Ni, Cr, Sr, Nbにおいて不連続性が認められる.五葉山岩体と比較した場合,主岩相は五葉山岩体大窪山型に,寒風型は吉浜型に類似する.Sr/Y-Y図においては,主岩相はアダカイト質の特徴を示し,寒風型は非アダカイト質の特徴を示す.1つの岩体でアダカイト質岩と非アダカイト質岩が共存する特徴は,北上山地の他の岩体と一致する特徴である.立根岩体主岩相と五葉山岩体大窪山型は,普通角閃石を主とする結晶分化作用により同一組成のマグマから生成することが可能である.

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© 2008 地学団体研究会
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