地球科学
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Print ISSN : 0366-6611
原著論文
地震性水位上昇がもたらした更新統堅田累層(古琵琶湖層群)の累重様式
服部 昇 増田 富士雄斎藤 有石田 志朗
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2020 年 74 巻 2 号 p. 65-76

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抄録

琵琶湖西岸に分布する更新統堅田累層(古琵琶湖層群)は湖沼堆積システムからなる.この堅田累層の湖沼堆積システムは,デルタ面堆積物,デルタ前置面や湖岸斜面での水中斜面堆積物(ハイパーピクナイト等),デルタ底置面堆積物,湖底堆積物に識別できる.さらに,その重なり様式から古水深の変化を明らかにした結果,周期的な湖面変化ではなく,非対称的な変化,すなわちゆっくりした浅化と急激な水位上昇という水面変動を捉えることができた.しかもその急激な水位変化は,地震動や地震イベントに伴って形成されたとおもわれる変形や擾乱した堆積物がつくられた後に発生している.このことから湖水位の急激な上昇が地震活動に伴うもので,その繰り返しが厚さ390 m にもなる堅田累層の累重を形成したことがわかった.堅田累層の累重のメカニズムを初めて具体的に示すことができた.

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© 2020 地学団体研究会
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