地球科学
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原著論文
北部九州白亜紀花崗岩類,油須原花崗岩の活動時期と優白質花崗岩との成因関係
柚原 雅樹 西 瑛莉子清浦 海里亀井 淳志川野 良信岡野 修早坂 康隆
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2022 年 76 巻 2 号 p. 87-104

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抄録

北部九州東部に分布する油須原花崗岩ならびに優白質花崗岩の主成分ならびに微量成分元素組成測定, U-Pbジルコン年代測定,希土類元素ならびに Sr・Nd同位体比測定を行った.油須原花崗岩は,主岩相と優黒質斑状岩相に区分される.主岩相は細粒黒雲母花崗岩,両雲母花崗岩からなる.優黒質斑状岩相は,普通角閃石-黒雲母花崗閃緑岩~花崗岩からなり,主岩相内に点在する.優白質花崗岩は細~粗粒の白雲母花崗岩~両雲母花崗岩からなる.油須原花崗岩主岩相と優白質花崗岩の全岩化学組成の変化トレンドは,多くの元素で真崎花崗岩と類似するが,油須原花崗岩主岩相の希土類元素パターンは,真崎花崗岩とは異なる.油須原花崗岩主岩相と優白質花崗岩からなるそれぞれの岩体は,同一のマグマだまりからもたらされ,異なる時期に貫入したと考えられる.油須原花崗岩主岩相から,98.6±0.9 Maの U-Pbジルコン年代が得られた.この年代が油須原花崗岩の活動時期を示している.油須原花崗岩主岩相の Srおよび Nd同位体比初生値は,真崎花崗岩とは異なるが,加々美(2005)によって西南日本内帯の白亜紀から古第三紀の花崗岩類の Srおよび Nd同位体比組成で定義された北帯の組成範囲内にある.

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© 2022 地学団体研究会
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