抄録
中国黄土高原での熱収支と土壌水分特性を明らかにするために,土壌3層モデルを用い,実際の裸地圃場に適用した(鳥取砂丘および中国陝西省神木県)。日蒸発量の観測値と計算値の差は0.18 mm(5 W m-2)から0.21 mm(6 W m-2)程度であった。神木地区の黄土は砂,シルト,粘土が適度に混ざり合っていることにより,保水性の効果と蒸発抑制効果の両面を併せ持っていた。神木に近い楡林の1999年の気象データを用い,熱収支と土壌水分の季節変化について考察した。年平均顕熱フラックスは23 W m-2,年平均潜熱フラックスは19 W m-2(239 mm per year)であった。冬季の第2層と3層の土壌水分は比較的高く維持されていた。