森林内のCO2フラックスの鉛直変化について苫小牧のカラマツ林を対象として実測とモデルの両面から調べた。フラックスの測定は超音波風速計を林上と林内に合計5高度に,CO2変動は1台の赤外線分析計を用い,流路を切り替えてクローズドパス法を適用して行った。測定値がない時間帯の値は内挿して求めた。実測結果は群落内かなり下層までCO2は下向きに輸送されていること示した。これを微気象モデル,すなわち,乱流は2次のクロージャーモデルを,気孔コンダクタンスと光合成についてはBall-BerryとFarquharのモデルをそれぞれ適用したもので検証した。CO2フラックスの鉛直分布について両者は近い値を示したので,さらにこのモデルを用いて下層植生の役割について評価した。その結果この森林のオシダなど下層植生が仮になかったとした場合は昼間のCO2交換量が大きく減少することがわかった。