農業気象
Online ISSN : 1881-0136
Print ISSN : 0021-8588
ISSN-L : 0021-8588
水稲出穗期に於ける台風の被害状況について
氏家 四郎宮本 硬一小島 善吾
著者情報
ジャーナル フリー

1956 年 12 巻 1 号 p. 1-4

詳細
抄録

1. 昭和24~29年の間に宮城農試圃場で風害実験及び現地被害調査を行つた。
2. 稲穂面風力の垂直分布を見ると, 草高より下部20cm以下のところから指数曲線式の適用が出来る。稲穂面と風力塔との間には密接な直線回帰の存在が認められ風力塔の風速から稲穂面の風力を推定することが出来る。
3. 送風実験で, 穂の抽出程度と被害程度の関係を見るとC型が最も甚しく, B, D型がこれに次いだ。抽出当時の乾物歩合が最も低く軟弱であるが, C型はこの穂の抽出速度が最も早い時期に当る。
4. 籾変色割合と粒質, 粒重の変化を見ると, 送風実験した場合と現地調査では同様な傾向を示し, 籾変色割合の増加とともに粒質が悪化する。籾変色割合20%以上になると, 不稔歩合の急増に伴つて, 被害程度が急激に大きくなる。尚低温年次には茶米の外に, 死米, 青米を特に増加し, 被害を稍々増大する。
5. 籾変色割合と減収量との関係を見ると籾変色割合の約10%までは少ないが約20%から減収量が急激に増加し, 曲線的傾向を示す。不稔歩合の増加も曲線的で同様な傾向を示しているが, 不稔歩合の増加は減収要因の大きな weight になつている。

著者関連情報
© 日本農業気象学会
次の記事
feedback
Top