農業気象
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稻網斑病に関する研究
第3報 病原菌の発育並びに生殖器管形成と死滅に及ぼす温度の影響
藤川 隆
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1956 年 12 巻 1 号 p. 27-29

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抄録

(1) 本論文においては, 稲網斑病菌の発育並びに生殖器管形成と死減に及ぼす温度との関係に就て記述した。
(2) 菌叢直径の伸長速度と温度との関係を22~32℃の各供試温度について見るに, 何れもよく発育するが28~29.5℃最も伸長速く気中菌糸は高温の場合に多いようである。尚菌叢密度は22~28℃が良好である。
(3) 分生胞子は22, 24.5, 28℃の順で比較的低い方が良好のようである。菌核並びに菌核様物質は24.5~28℃が極めて形成良好のようである。
(4) 病原菌の死減温度は温湯の場合菌糸のみで, 52℃ 5分, 50℃ 10分, 菌糸と分生胞子の場合52℃ 5分で死減した。
(5) 更に乾熱の場合は菌糸のみでは75℃ 5分, 65℃ 10分, 60℃ 15分で, 菌糸と分生胞子混合では90℃ 5分, 75℃ 10分, 70℃ 15分で夫々抵抗力を失う様である。
(6) 最後に低温時においては, 菌糸は-5℃で20時間, -12℃では16時間, 菌糸及び分生胞子の実験では-5℃で96時間, -12℃では48時間で夫々死滅せるを認めたのである。

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