農業気象
Online ISSN : 1881-0136
Print ISSN : 0021-8588
ISSN-L : 0021-8588
ハウスの暖房負荷係数の変動とプラスチックフィルムの熱貫流率について
堀口 郁夫
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 33 巻 4 号 p. 175-181

詳細
抄録

実際に使用しているビニルハウスを使用して, 暖房負荷係数の測定を行った。1974年は, 89,000kcal/hrの温風暖房器を使用して測定を行い, 式(3)のような値が得られたが, 各測点はかなりのバラツキがみられた。これはon-off調節により供給熱量が正確に測定出来ないことが原因と考え, 1975年には正確な測定を行うため, on-off作動が少ない26,400kcal/hrの暖房器を使用して測定を行った。しかし図3のように各測定のバラツキはさらに大きくなった。このバラツキの原因を調べるため, モデル箱を使用して, 暖房負荷係数に大きな比率をしめる熱貫流率を調べた。その結果, 熱貫流率を風速の関数として表わした場合, 各測点はバラツキのため一定の関係式は得られなかったが, 熱貫流量にしめる顕熱損失と放射熱損失の比の関数として表わした場合, 一定の曲線上に熱貫流率はならんだ。さらにこの曲線はプラスチックフィルムの種類やガラスによる相違は小さく, ビニル, ポリエチレン, シルバービニル, ガラスともほぼ同じ曲線になった。この曲線から熱貫流量にしめる顕熱損失が多いと一定の熱貫流率になるが, 放射熱損失が多いと, 熱貫流率が大きく変動することが判明した。

著者関連情報
© 日本農業気象学会
次の記事
feedback
Top