抄録
緒言: HIV流行後にピルが解禁されるという世界でも特殊な状況下にあるわが国において、ピル解禁直前のピルに関する意識・知識の実態を把握する目的で、面接調査を実施した。対象と方法:全国の20歳以上男女2,000人をランダムに抽出し、面接調査を実施し、20-59歳を分析に供した。
結果: 20-59歳の910人 (回収率63.2%) の回答から、ピルが広く認知されていること(75.5%、687/910)、女性に比べ男性の方が、ピル使用に積極的な傾向があること(使用に積極的:男性12.3%vs女性9.7%、P=0.205、使用に消極的:男性50.4%vs女性65.996、P<0.001)、ピルの作用副作用に関する知識は男性より女性が高いこと、また、男女とも2-3割の人が、ピルがHIVやその他の性感染症 (STD) を予防し得ないことを確実に認識できていない実態(ピルでHIV感染が予防できないことに関する不正解率:26.6%ピルでSTD感染が予防できないことに関する不正解率:28.8%)が示された。
結論:以上、の結果より、ピルに関する正しい情報提供と、STD/HIV予防のたあの啓発教育の並行的な実施が急務であり、しかも、男女双方に対し実施されるべきことが示唆された。