抄録
目的: HIVウイルスに感染している患者にとって, 抗HIV薬の進歩による治療法や予後の改善は朗報である. 一方, HIVウィルスを完全に除去できない現状があり, 服薬を一生継続するのか, 休薬してもよいのかを見極めるのは困難である. 当院において, 偶然の要素により, 服薬を中断せざるを得ない状況になり, その後の経過を観察しえた2症例を経験したので, 報告する.
対象および方法: 新潟市民病院で服薬を中断し現在まで経過観察をしている2症例を対象とし, この症例に関して文献に照会しながらCD4, ウイルス量, 中断後の経過に対して検討を加えた.
結果: 2症例ともHAART導入後, 速やかにCD4は正常化し, HIV-RNAもコントロールできた. 症例1は副作用症状, 症例2は出産を契機に治療を中断し経過観察を行っているが, 両症例とも現在まで臨床症状もなく, 患者のQOLは良好である. 結論: 症例数も2症例と少ないが, 今後とも症例を重ね検討を加えていきたい.