抄録
目的: HIV感染者ではその経過中にしばしば高IgE血症を認めるため、血清IgE値とHIV感染症の臨床病態との関連について検討を行った。
対象及び方法: (1) 血友病患者でHIV感染例24例とHIV非感染例13例との血清IgE値を測定し比較した。(2) HIV感染者32例 (平均年齢33.4歳、男性29例・女性3例) の血清IgE値とHIV感染症の臨床病態との関係を解析した。
結果: (1) HIV感染血友病患者で1,000U/ml以上の高度の高IgE血症を認める傾向にあった。(2) 高IgE血症を伴うHIV感染者ではAIDS発症例が有意に多く、CD4陽性T細胞も有意に低値であった。
結論: HIV感染者の高IgE血症はHIV感染症に関連した現象であり、特にHIV感染症の臨床病態進行の指標となりうることが示唆された。